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鹿のゆくえ
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『Maruta』 石松一樹シェフ

在本彌生+小野寺望

ARTIST
在本彌生+小野寺望

『Maruta』 石松一樹シェフ

公開日:2021年3月26日

Maruta は東京、調布の閑静な住宅街の中にある。 建物は決して小さくはないのだが洒落た邸宅といった佇まいで、街の景観にしっくりと馴染んでいる。 建物の裏手には広々とした菜園が広がっていて、ここで収穫される野菜やハーブが料理に盛り込まれる。 近頃地方では作物を独自に育てながら料理を提供するレストランが増えているが、都心からほど近いところで、目の前の農園の野菜を料理して食せる場所は少ないのではないだろうか。

Maruta の料理の特徴は薪を燃やした火での調理。 調理場はテーブルの目の前、完全なるオープンキッチンゆえ、肉をおろすのも火を入れるのも客席から丸見え、視覚的バリアフリーの設えだ。 食事の前の段階で石松シェフが火と対峙する様を見ていると、現代的な日常のマインドをひとつリセットできそうな気もする。 自分が食べる料理がどのように調理されて仕上げられるのか、一部始終を実感することが出来るのも面白い。 日頃自宅のキッチンのガス台の火で調理している私は、火柱が立つほどに燃え上がる薪火での調理法に興味津々なので、シェフの所作の一部始終をかぶりつきで見せていただいた。 彼は「調理の現場で毎日変化する料理をお客様にも認めてもらいながら提供していくのが Maruta のスタイル」という。 素材のコンディションは毎日違うのだから、それをその日の最高の状態で提供するのがプロの技の見せ所だろう。 そう言われてみれば、確かに『食はライブ』なのだ。 自然から生み出されるものは全く同じということはなくゆらぎのあるもの。 料理すること、食べることは毎日繰り返されるが、言うなれば毎回一度きり、二度と全く同じことはない、そんな日常の貴い営みの一つだ。

小野寺さんから届いた鹿の腿肉を石松シェフはひとしきり眺め、一気におろしていく。 コンスタントに小野寺さんから鹿肉を取り寄せているので、その都度の肉のコンディションにも敏感だ。 「今日のは非常にいいのが取れるはずですよ」と言いながらするすると肉を切り出す。 美しい赤い肉を火柱から遠ざけ、炭になった薪の遠火でじっくりと焼き上げる。 少しずつ少しずつ火を入れて何度も裏返す。 焼き時間は40分以上一時間未満、肉の大きさや様子を見ながら変えるそうだ。 最後に農園で摘んできたばかりのローズマリーの大きな枝を数本被せて蓋をし、肉に涼やかな香りを纏わせた。

「切り分けは是非ご自身で、端から切って召し上がってください」焼きあがった肉の外側は、こんがりとしているがナイフを入れると鮮やかな薔薇色で水分を程よく湛えている。 薪とローズマリーの香りがほのかに立ち昇り、臭みは全くない。 噛み締めると、鹿を育んだ草木の風味が感じられる。 肉そのものの中に爽やかさが両立するなんて、なんということだろう! 小野寺さんと鹿を追って歩いた山を思い出しながら有り難く頂いた。 『肉を食す醍醐味』と名付けたい、そんな料理だった。

PROFILE

作家紹介

在本彌生+小野寺望

YAYOI ARIMOTO + NOZOMU ONODERA

各地の衣食住の文化背景の中にある美を写真に収めるべく世界を奔走する写真家・在本彌生と、牡鹿半島でニホンジカの有害獣捕獲を担い、狩猟や野生食材などを採取しながら、食材の育つ背景を伝える食猟師・小野寺望によるリボーンアート・フェスティバルのためのプロジェクト。 ニホンジカの解体処理と牡鹿半島の自然の恵みを伝える拠点「FERMENTO(フェルメント)」を舞台に、野山に入り、野草を摘み、生き物を追い、それを生きる為の糧にする小野寺の生き方を在本が写真で捉える。

在本彌生
1970年東京生まれ。写真集に『Magical Transit Days』(アートビートパブリッシャーズ)、『わたしの獣たち』(青幻舎)、『熊を彫る人』(小学館)がある。

小野寺望
1967年気仙沼市生まれ。石巻市在住。宮城県猟友会石巻支部所属。「Antler Crafts(アントラークラフツ)」として活動。2017年よりリボーンアート・フェスティバルに関わり、「FERMENTO」の運営を任されている。

ART WORK

秋のコール猟と鹿肉を昇華させる料理人たち

ONLINE PROJECTS

現在オンラインで公開中の作品

ARTIST

参加アーティスト一覧

OUTLINE

開催概要

Reborn-Art Festival 2021-22
— 利他と流動性 —

【 会期 】

オンライン : 2021年1月6日(水) 〜
夏 : 2021 年 8 月 11 日 (水) ~ 2021年 9 月 26 日(日)
春 : 2022 年 4 月 23 日 (土) ~ 2022年 6 月 5 日(日)
※会期中メンテナンス日(休祭日)を設けます。

【 メイン会場 】

ー 夏 ー
2021年
石巻市中心市街地
牡鹿半島(桃浦、荻浜、小積浜、鮎川、and more...)

ー 春 ー
2022年
石巻地域

【 主催 】

Reborn-Art Festival 実行委員会
一般社団法人APバンク

【 助成 】

文化庁 国際文化芸術発信拠点形成事業

【 翻訳 】
小山ひとみ、呉珍珍(中国語簡体)、チン ユホウ(中国語繁体)

【 Web Direction 】
加藤 淳也
(PARK GALLERY)

この情報は2021年3月20日時点のものです。
新型コロナウイルスの影響等でやむを得ず変更する場合があります。
あらかじめご理解をいただければと思います。
最新情報は随時当ウェブサイトをご確認ください。