Reborn-Art Festival

利他と流動性 [ 後期 ] 2022年8月20日 (土) - 10月2日 (日) ※ 会期中に、休祭日を設ける予定です

会場:宮城県 石巻市街地、牡鹿半島

新型コロナウィルス感染症対策について

© Reborn-Art Festival 2021-22

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Reborn-Art Festival
実行委員長
小林武史からのメッセージ
困難さの向こうにある
新たな広がりのために
2022年4月
Reborn-Art Festival 実行委員長
小林武史

「利他」は、それ自体を明確に掲げようとすると、その姿を消してしまうものなのかもしれない。

新型コロナウイルスは、3年目に入った現在も、未だに新しい展開に僕たちを押し出そうとしている。

ヨーロッパでは、まさかと思っていた戦争が、どこに辿り着くのかさえ分からない濁流を作り出している。

何を言葉にして抗っていいのか分からない僕たち。だけど、希望は失わない。

こんな時代に利他のセンスがどのように機能するのかは分からないけれど、間違いなくアートや食、音楽の表現の中に、それは潜んでいる。

全ての命と、その根源とのつながりを感じるために、そして、困難の向こうにある新たな広がりのために、再びリボーンアート・フェスティバルが行われるのだと思う。

表現の新たな動きと場をつくる
「利他」と「流動性」
2021年6月
Reborn-Art Festival 実行委員長
小林武史

震災から10年の月日が経った被災地でも新型コロナウイルスの影響による移動自粛モードが続いている。

農業などをやるということでもない限り、 地に足のついた生き方というのはなかなか見出しにくい現代の経済社会で、 多くの人が足止めを食ったままだ。 その理由が感染への不安や恐怖だ。

見えないものの流動性の怖さ——自然界の産物であるウイルスの流動性への懸念から、 人間の移動を伴う流動性が抑えられている。

一方、 見えないものの流動性は別のところでも高まり、 デジタルによるテレワークやコミュニケーションによって、 新たな思索、 感情、 アイデアなどが、 今まで当たり前にコントロールしていると思っていた日常をすり抜けて、 移り変わったり、 新たな出会いを作ったりして、 化学反応を起こしている。

震災後の被災地がそれに似ていた。

リボーンアート・フェスティバルを作り出していく過程で、 大きなネガティブな出来事があったからこそ生まれた新たな出会いと化学反応。 それは、 自然の流動性の様(さま)を傍らで感じながら、 生命が胎動するような実感 「いのちのてざわり」 を生み出していった。 そしてそれも永遠ではなく、 流動性と共にある。

美術批評家の椹木野衣氏によって 「悪い場所」 と名付けられた日本、 東北。 安定しない地盤や多くの水害に昔から悩みや不安を抱えながら人々が生きてきた 「悪い場所」 。 不安定な流動性を抱えた場所。

しかし、 だからではないか。

その都度振り出しに戻ったり、 弱者の視点に立ったりするなかで、 何に向かって何を感じて生きていくのか——人類が文明というものを生み出す大元に立ち返るような心の動きが流動性のなかに潜んでいるのではないか。

コロナ禍の状況も踏まえてはっきりと輪郭を持ち始めた言葉がある。

それが 「利他」 。

「利他」 は今、 その定義が漢字の持つ意味合いよりも曖昧だが、 それがさらに広く捉えられ、 全体とのつながりをイメージしていくような言葉としても機能しているようだ。 敢えて言えば 「利他的なセンス」 なのか。

持てる者が持てない者に物質的な施しを与えるというようなことには留まらない、 慈善活動のような思いには留まらない、 共に生きるという視点がそこにあると思う。 さらにそれは人間社会にも留まらない 「人間も自然の一部である」 という認識も含めて、 自己と他者の境界を流動性で捉えていくというイメージも起こさせる。

生き物というのは個より種を大切にするように進化して、 人間だけが生き物のなかで初めて種よりも個の自由を選ぶようになった。 これは、 進化の段階としてなのか、 資本主義の限界としてなのか、 個の自由がひいては 「利己」 を増幅するという結果を招いている。

個の自由は進化のためにも必要で、 人種やジェンダー、 障害の有無など様々な面で今はそれがより開かれてきている。 だからこそ、 わたしたちは 「利他的なセンス」 を取り入れる必要がある段階にきていると思う。

奇しくもウイルスからも教わることになった 「人間は自然の一部である」 ということが、 サステナビリティへの想いを後押ししてくれるようになった。

SDGs (*1) や ESG 投資 (*2) などを意識している経済や企業の指針にしても、 世界がだんだん変わろうとしているのを感じる。 それが充分かどうかというのはもちろん別の問題で、 そこに実感を見出していくためにこういった芸術祭が必要なのだと思う。

そこで思い出されるのはやはり震災直後の、 東北の人々のつながりのなかに生まれていった利他の思いだ。 あの時、 流動性とともに利他のセンスが爆発的に増えていた。

震災から10年を経た今、 コロナ時代のなか、 人間が知りえること、 コントロールできることなどたかが知れていると自戒の念を持つに至った今、 自然の、 宇宙の一端であることとつながりを想像力と創造性で補って、 描いて、 喜びを持って、 楽しんで、 記憶に残していくことがリボーンアート・フェスティバルの役割なのではないかと感じている。

利他と流動性。

それは表現の新たな動きと場をつくると思う。

*1 … SDGs : 「Sustainable Development Goals (持続可能な開発目標) 」 の略称。 2015年9月に国連で開かれたサミットで決められた、 2030年までに達成すべき17の目標。

*2 … ESG 投資 : 環境(Environment) ・社会 (Social) ・企業統治 (Governance) に対する取り組みを考慮して行われる投資。

小林武史 /
TAKESHI KOBAYASHI
音楽家、 ap bank 代表理事

日本を代表する数多くのアーティストのレコーディング、プロデュースを手掛ける。映画音楽においても『スワロウテイル』『リリイ・シュシュのすべて』を手掛けるなど数々の作品を生み出す。2003年に非営利組織「ap bank」を設立。環境プロジェクトに対する融資から始まり、野外音楽イベント「ap bank fes」の開催や東日本大震災などの被災地支援を続けている。2019年から千葉県木更津市で「KURKKU FIELDS」を運営し「食」の循環を可視化するプロジェクトも進めている。「リボーンアート・フェスティバル」では実行委員長および制作委員長を務めている。

OUTLINE

開催概要

Reborn-Art Festival 2021-22
[ 後期 ]
— 利他と流動性 —

【 会期 】

2022年8月20日(土)~ 10月2日(日)
※ 休祭日:8月24日(水)、9月7日(水)、9月14日(水)


【 会場 】

宮城県 石巻市街地
(石巻中心市街地、復興祈念公園周辺、渡波)、
牡鹿半島(桃浦・荻浜、鮎川)


【 鑑賞時間 】

石巻市街地(石巻中心市街地、
復興祈念公園周辺、渡波)
平日・土日祝 10:00〜17:00(16:30最終受付)

牡鹿半島(桃浦・荻浜、鮎川)
平日 10:00〜16:00(15:30最終受付)
土日祝 10:00〜17:00(16:30最終受付)

※ 施設、作品によって異なる場合があります


【 主催 】

Reborn-Art Festival 実行委員会
一般社団法人APバンク


【 共催 】

宮城県、石巻市、塩竈市、
東松島市、松島町、女川町
株式会社河北新報社、
東日本旅客鉄道株式会社 仙台支社


【 助成 】

令和4年度 文化庁
国際文化芸術発信拠点形成事業



【 特別協賛 】

【 協賛 】

EXELCO DIAMOND

【 後援 】

TBC東北放送、仙台放送、ミヤギテレビ、
khb東日本放送、エフエム仙台


【 特別協力 】



Reborn-Art Festival 石巻実行委員会


【 協力 】

日本製紙株式会社石巻工場、西濃運輸株式会社、
石巻専修大学
株式会社宝栄建設、
FSX株式会社、社会福祉法人夢みの里

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